「台風上陸の恐れ」
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「麻酔をして虫歯の治療をしますね」と告げた時、
「えっ!」と身構えてしまう患者さんは少なくありません。
未知のもの、理解を超えているものに対する恐れは誰にでもあります。
暗闇を恐れるのと同じで、暗闇の中に恐ろしい魔物が潜んでいるかもしれないと恐怖を感じるのです。
しかし「台風上陸の恐れがあります」と告げるニュースキャスターがどこかクールなのはなぜでしょうか。
それは対策を講じていれば大抵は乗り切れることを知っているからです。
そもそも上陸とは台風の中心が日本本土の海岸に達した場合のことを言いますが、
警報級の気象情報が発令されていれば危険を回避すべく時差出勤や在宅勤務、
スマートフォンの充電、懐中電灯と乾電池を備え、飛ばされそうな物は室内に移し、
雨戸やシャッターは閉めておくものです。
「麻酔をして」、「虫歯の治療をする」場合、まず麻酔の針の痛みをやわらげるため麻酔の軟膏を塗ります。
充分に軟膏が効いてから麻酔の液を少しずつ注入していきます。
麻酔を効かせたい部分に到達するまでゆっくりと回数をかけて行います。
次に医療機器のキーンという音が鳴りますが、残念ながら現在音のしないものは存在しません。
歯を削っていくタービン、エンジンと呼ばれる機械は電気モーターや空気の圧力により高速で回転しているので回転音がでます。
また、削る時に歯が焦げてしまわないようスプレー状の水をかけるので、その音もします。
削りカスや水、唾液を吸いとるためのバキュームは、掃除機のような音がします。
いずれも虫歯を治療するために必要なものですが必要最小限にとどめ、手用の器具で慎重に虫歯を除去します。
麻酔が怖い、キーンという音が怖いという気持ちが少しでも軽減されるよう先回りして配慮しています。
本当に怖いのは歯医者が怖くて歯医者に行けず悪化してしまうことです。
初期の段階であれば麻酔は不要かもしれませんし、歯を削る量もごくわずかで済みます。
歯医者が怖いからこそ、早めに歯医者に行くことが重要なのです。